南米気候における一帯の名称

ということで、前回の解答。
答えはBACD。リャノ→セルバ→カンポ→パンパとなります。


さて、いつものように解説。
一般的に、気候区分といえばドイツの気候学者であったケッペンが有名です。
彼は最寒月の気温、降水量の乾燥限界、雨季・乾季の有無と時期によって、世界を5気候帯・12気候区に分けました。
これが、よく知られているケッペンの気候区分と言われるものです。

「なんか、元素記号みたいで全然覚えられないんですけど」みたいな人もいるかと思いますが、実はわりかし工夫されているんです。

5気候帯

AからEまでの5つに分かれています。
Aから順に

  • A・・・熱帯/樹林あり・最寒月平均気温18℃以上
  • B・・・乾燥帯/乾燥により樹木なし
  • C・・・温帯/樹木あり・最寒月平均気温18℃未満−3℃以上
  • D・・・亜寒帯(冷帯)/樹木あり・最寒月平均気温−3℃未満・最暖月平均気温10℃以上
  • E・・・寒帯/低温により樹木なし

という感じ。
つまり、アルファベット順に寒くなっているのが分かります。
これだけ分かれば、気候帯についてはほとんど終わったも同然です。


それでは、今回の焦点である南米と中心に見ていきましょう。

リャノ

南米大陸北部に位置する一帯です。
ケッペン気候区分では、サバナ気候区(Aw)に分類されます。
この気候区は夏は雨季・冬は乾季となり、広々とした草原にぽつんと樹木が点在するといった感じになります。
地理的には、大型動物が多く生息し、乾季には草木が枯れたり落葉したりします。
アジアにおいては重要な稲作地帯となっていることが多いです。


リャノは、オリノコ川流域(=ベネズエラ・コロンビア)のことを指し、丈の高い草原に乾燥に強い5〜10m規模の樹木がまばらに生える一帯となります。

セルバ

南米大陸北西部に位置する一帯です。
ケッペン気候区分では、熱帯雨林気候区(Af)に分類されます。
名前の通り、熱帯雨林で覆われる、一年通して降水量が多く、気温も高い気候区です。
インドシナ半島では、季節風(モンスーン)の影響で、弱い乾季がある熱帯モンスーン気候区(Am)となります。


セルバは、特にアマゾン川流域の熱帯雨林一帯のことを指し、多くの常緑広葉樹と蔓植物で構成される密林です。

カンポ(セラード)

南米大陸北東部、ブラジル高原付近に位置する一帯です。
ケッペン気候区分では、リャノ同様にサバナ気候区(Aw)に分類されます。


このように、同じような地理・自然状況でも、場所によって名前が変わることが往々にしてあります。

パンパ

南米大陸南東部、アルゼンチン・ラプラタ川流域に位置する一帯です。
パンパはその面積が広く、気候的に湿潤パンパと乾燥パンパに分かれます。
よって、ケッペン気候区分では

  • 湿潤パンパ・・・温暖湿潤気候区(Cfa)
  • 乾燥パンパ・・・ステップ気候区(BS)

と分類されます。

パンパは起伏が少ないために水捌けが悪く、冠水するとなかなか水が引かない状況が続いてしまう場所です。
しかし、ステップや広葉樹林が発達しているので、世界有数の牧畜地帯となっています。