日本における漢字の分類とその内容

ということで、遅ればせながら前回の解答をば。
答えはCDAB。常用漢字→当用漢字→教育漢字→人名用漢字となります。

以下、解説。

漢字政策

そもそも、なんでこんな分類があるのか。それには訳があります。

第二次世界大戦で敗戦した日本。その過程で、教育にもさまざまなメスが入れられました。
その一つに漢字政策があります。

戦前より、「漢字で表記すると分かり辛いし、読みにくい」という漢字制限主義・表音主義な主張がありました。
理由として新聞社・出版社でも同じ漢字なのに表記・読み方が違うということがあったから。
しかし、当時から国語学者や民間から痛烈な批判が相次ぎ、結果、法制定まで行きませんでした。


敗戦とGHQからの通達によって、当時の文部省は急いで漢字表を作る作業に入ります。
しかし、これは漢字使用の制限という意味合いは無く、国内で使う漢字を統一するという意味でした。

常用漢字

現在、広く一般的に使われている、1945字の漢字を指します。
これは、中学校、つまり義務教育までに習得する漢字を指しています。

これに基づいて、公文書や新聞・放送などは漢字の使用の目安をつけます。
つまり、常用漢字外の漢字は使わない、使う場合にはルビを振るという取り決めがなされています。

よって、中学校までの漢字はちゃんと読めて書けることが社会的にも当たり前ということなんですね〜。

当用漢字

常用漢字の前身で、1850字の漢字が対象でした。
GHQの通達で作った、「当面の間、これでやっていく」という方向性を示したものです。

本来なら、GHQの政策では「漢字を全廃する」ということだったので、「当用」という言葉が付されています。
その後、国語審議会による方針転換で「漢字全廃はおかしい、漢字かな交じりが妥当」という見解を示したことにより、内容を改定。
最終的に常用漢字表が公示され、当用漢字は消滅しました。

教育漢字

文部科学省「小学校学習指導要領」に記載されている、1006字の総称です。
日本漢字能力検定協会では「学習漢字」と読んでおり、一般的な呼称は存在しません。

法的にも存在せず、ただ「小学校で覚える漢字というものに名前がついただけ」ということになります。

人名用漢字

名前に使える漢字は戸籍法により常用漢字のみと決められていました。
しかし、これに対して「苺」「雫」「獅」「琉」「龍」など、使いたいのに使えない漢字と言うものも現れてきました。
これに対して、戸籍法は改定され、常用漢字人名用漢字で定めたものとなりました。


現在は人名用漢字許容字体も含めて985字となりました。
最近(今年4月30日)では新たに「祷」「穹」が追加されています。